たっくんのボードゲーム日記

No.472
クシディット王国記
Lords of Xidit

プレイ人数:3 - 5
プレイ時間:約120

ルール難易度 普通、特に難しい点は無い
日本語化 不要


ヒマラヤ(帝国の商人)のリメイク作です。

ファタンジーの世界の都市を襲うモンスターをやっつけて名声を競います。


21の都市が描かれ、3色の道(赤、水色、黒)で結ばれています。

このゲームでは3つの分野で勝利点を積み重ねていきます。
左から、金貨、吟遊詩人の竪琴(名声)、建物(魔術師ギルド)


これらを基本的にまんべんなく獲得していくのだけれども、計算方法がプレイ人数によってちょっと異なります。


初期セットアップで竪琴のチップは各プレイヤー1色ずつ選んで手元に持ちます。
ゲーム中、これらの竪琴チップは道で分けられたエリアに配置していきます。


で、エリアごとに置かれたチップの数で順位をつけて、それぞれ1位と2位が名声点をもらえます。
写真左のエリアでは、1位は黄色(3点)、2位は赤と黒(1点)※2位タイの場合はボードに書かれている点数をタイのプレイヤー全員がもらえます

ボード中央のエリアだけは、貯金箱式になっててゲーム中は誰が何枚入れてるのか確認できません。


まあ、カウンティングしてれば分かるんですけれども。

このエリアは名声点が多めで、1位6点、2位4点となっています。


建物は、都市の脇から伸びている白い点線の先に建てることができます。
ゲーム中建てることのできた建物の合計数で順位をつけます。


ただし、1つの都市には1人のプレイヤーしか建てられない上に1都市につき4個が上限です。


ゲーム終了時に、これら3つの得点要素の比較をしますが

最初にボード上に建てた建物の数を比べて、もっとも少ないプレイヤーが足切りになります。


上記の例では青のプレイヤーが足切りになり、ゲームに勝利する権利を失います。

次に吟遊詩人からの名声点を比べます。


ここで緑のプレイヤーが最下位で足切りになっています。

で最後に金貨の数で、黄色と赤の決戦。赤のプレイヤーの勝利となっています。


これは4人プレイの例で、プレイ人数によってやり方がちょっと変わります。
あと、3つの要素の比較順序はゲームごとに変わります。


さて、これらの勝利点要素の獲得方法ですが、徴兵タイルというところから兵士を雇って
脅威タイル(モンスター)を倒すことで得られます。



このモンスターをやっつけるにはオレンジの兵士が2人必要。


モンスターを倒したら、タイルの上部に描かれている報酬の中から2つをもらえます。
この場合は、建物3つか金貨3つか、竪琴1つです。

タイルに書かれている番号と同じ番号の都市にモンスターが現れます。


報酬を狙って、兵士をやとってやっつけにいくわけですが

そのためにはまず、徴兵タイルが置かれた都市で兵士を雇わなければなりません。


徴兵タイルも脅威タイルと同じく、タイルに書かれた番号に対応した都市に置かれます。

プレイヤーは自分のコマを徴兵タイルが置かれた都市に移動させたら、その後のアクションで兵士を1人雇えます。



ただし、その都市に残っている兵士コマの中で一番弱い兵士を雇わなければなりません。


ということで、オレンジの農民兵が残っていればそれを取ります。

そんな感じで、ボード上には常に脅威タイルと徴兵タイルが5枚ずつ、計10枚置かれます。



さて、次がこのゲームの核心部分。
プレイヤーは、最初に6手番まで先の行動をあらかじめ決定して伏せておきます。


3色の色は対応する道の移動、緑の上下矢印アイコンは今居る都市で徴兵かもしくはモンスターと戦います。
そして、×は手番パス。徴兵するときに、あとから雇う(より良い兵士を雇う)ためにこういう選択肢を取ることもありえます。
徴兵するときに、弱い兵士が残っていればそれを取らなければならないので。。

それと、1ラウンド(全員6手番ずつ)の間に、1つの都市で雇える兵士は1人までです。
※なので、1つの都市に留まり続けて連続で雇うようなことはできない


ボード上の状況を見て、他のプレイヤーの行動を予測しつつ自分のアクションを決定します。



たとえば、こんな風にセットしたとすると。



ラウンドの最初に居る都市(1)でオレンジの兵士を1人雇って赤の道を移動(2)


さらに水色の道を移動(3)した先の都市でオレンジの兵士を雇う(4)、そして水色の道を引き返してオレンジの兵士2人でモンスターをやっつける。

しかし、、実際のゲームでは4のところでオレンジの兵士を雇えるかどうかはかなり微妙ですね。
赤のコマが置かれているので、おそらくは先に雇われてしまうでしょう。
そして6のところのモンスターも先に誰かに倒されてしまっているかもしれません。。

仮に、計画通り事が運んだとしてここのモンスターはオレンジの兵士2人で倒すことができます。


金貨3枚か建物3つか竪琴1つの中から2つを報酬としてもらえますが

竪琴を選んでも1つだけなので、金貨3つと建物3つにしてみました。



倒されたモンスターは取り除かれます



ちなみに裏は徴兵タイルになっています



倒されたモンスターはボード上の捨て場に置かれて、代わりに新しいモンスターがボード上に登場します。


つまり、あらかじめ次にどんなモンスターがどこに出てくるのかが見えているのでこれを予想しながら計画を立てます。
徴兵タイルについても同じで、都市に置かれたタイル上の兵士が全部取られたら捨てタイル置き場に置かれて新しい徴兵タイルが出てきます。

捨てタイル置き場に置かれた脅威タイルは、徴兵タイルのストックがなくなったら、ひっくり返されて新しい徴兵タイルの山になります。

つまり、徴兵タイル→脅威タイル→徴兵タイル→・・・という感じで循環します。

しかし、、モンスターばかり倒され続けてストックに脅威タイルが無くなると、タイタンというちょっと特殊な脅威タイルが出現したりします。

ベーシックルールでは12ラウンド、4ラウンドごとに持っている兵士リソースで軽い競りをします。


兵士の種類分だけ一斉入札式の競りが行われて、それぞれ勝ったプレイヤーは報酬をもらえます。

入札に使った兵士コマは競り終了後に手元に戻されます。

だいたいそんな感じです。





Bonnessee, Regis
プレイ記

4人プレイです。


勝利条件の順番は

竪琴(吟遊詩人からの名声)→都市に建てた家→お金

最後はお金で勝敗が決まるけど、その前に竪琴とか家で足切りにされては意味がない


最初はやっぱり徴兵しないとなんもはじまらんよね、っていうことで右下の方に徴兵できる都市が固まってるな。



このへんに置いてみる。



しかし、ここは敢えて最初に置いた都市で徴兵はしないでおく。



こんな感じの計画にしてみた。


というのも、後から徴兵した方が良い兵士を雇えるからで
でも他の人も同じようなこと考えてる可能性あるかなと思い、ちょっと休憩(×アイコン)を挟みつつw

と、思ったらけっこう素直に来たな^^;


ちょっと考えすぎたか

隣の都市に移動して



オレンジの一番弱い農民兵を雇う


とはいえ貴重なリソースに変わりはない


元居た都市に戻ってきたら、なんかワラワラ集まってるしw



お、魔導師雇えるぞw



しかし、、魔導師の価値を分かってないヤツの行動



さっき雇った兵士で隣の都市に行って早速モンスターをやっつける


だってさー、モンスター倒すのも早い者勝ちだから、今回はこっちの方がいいかなと思って。
魔導師は、そのうち雇えるだろーと楽観的になってた。


雇用可能な都市とかモンスターの出現具合からして、北に向かうべき情勢。




魔導師雇えそうなんだけど


KGさん「俺のが手番順先だから、100%雇えるなー、ははは」

くやしすぎる

でもそう思わせといてってことも


まあ、99%無いわな


諦めてさっさと北へ向かうことにする

とりあえずここまできた


KGさんは当然、紫の魔導師をゲットしている。


雇うべし雇うべしとばかりにこぞって徴兵



手元には緑の兵士が2人か



あれ、やっつけられるな


でもなー、先越されそうな感じがビンビン

わざわざ出向いておいて、空振りってのは最悪だし


ここはリスク回避で、ひたすら徴兵の旅に出ることにする。


目指すは左上の都市




到着、



よし、そこそこ兵士が集まったぞ




ボードの左側を経由しつつ、そろそろあの辺のモンスターをやっつけたい



紫の魔導師を必要としないので、こっちとしては願ってもない敵



んーー、ここは下手に途中で兵士雇って時間を浪費して、ライバルに横取りされるパターンが一番避けなければならない状況なので


途中の徴兵都市はスルーしていくことにする

ネクストバッターズサークルの敵は、12と15



これも近い場所に出てくる予定、しかし紫の魔導師を必要とするヤツが居るのか、うーん。。。



とりあえず、予定通りやっつけるぞ


Mさん「あ、徴兵しないんですね・・」


モンスター2体倒して、ここは家を建てとくかな、まだ1軒も建ててないので、


手持ちの兵士の残りから考えると、次は緑と白で倒せるアレなんだけど競争率高そうなんだよな。
かといってのこりは紫(魔導師)とか、オレンジ(農民兵)とか今手元に無いのを必要とするので・・キツイ

でも行く!


でも、予想通り空振りだったけどさ





美味しいモンスターの奪い合い


タケイさん「じゃこれで5金ですね」

またしても空振りか・・

あ、でもタイタンが出てる

タケイさんがお金を選んでくれたので、タイタンをやっつければお家建てられる!


これで家の足切りもなんとか回避できそうかな


ラストラウンド、タケイさんの計画


ん?4、5、6が全部アクション??

タケイさん「いや、あの次に出現予定のモンスター倒したいんですけどいつ出てくるか分からなかったんで」

なるほど、そういうことか

おしまい



緑のKGさんは、竪琴で足切り。でもお金は16金持っててぶっちぎりw


一応最終決戦まで残ったけど、持ち金6では勝てなかった^^;

タケイさんの勝ち

モンスターを倒したときにもらえる報酬3種類、正しくは3つのうち2つを選べるのだけれど、ちょっと間違えてて1つしか選んでなかった
なんか家とかもろもろのコマが手元に余り過ぎかなと思ったんだけど、そういうことか



評価・・・

※評価の基準についてはこちら

面白い! 9ラウンドのショートゲームでもかなりの重量感と満足感。
むしろ、12ラウンドゲームだとちょっと重すぎるかもしれないくらい。

ルール量としては決して多くなく、やることは極めて単純で遊びやすい。
若干、徴兵とモンスターの丸タイルストックが無くなった時の処理手順がちょっとややこしいくらいかな。

細々したコンポーネント類の印象からすると、かなりすっきりしてると思う。

兵隊を雇って、モンスターと戦ってというテーマになってはいるけれど
ヒマラヤ、Marchands d'Empire(帝国の商人)は商売をテーマにした作品だし・・

兵士という名のリソースを集めて、それを勝利点に変換してるという感覚の方が断然強い。
まあ、後から当てはめられたテーマがあまりシステムと融合してないかな・・とは思う。

けど、そのシステムが非常に良く出来てて面白いのであまり気にならないけどね。

各ラウンドの最初に、6手番先の行動まであらかじめ決めるというのは、確かに難しいんだけど面白い。

雇える兵士は、余っている中で最も弱いのを1つしか雇えないので、能力の高い兵士を雇おうと思うとタイミングが難しい。
モンスターなんかも早い者勝ちなので、後から行って空振りなんてことになると切ないんだよね。そこが面白いんだけど。

6手番先の他のプレイヤーの行動を読みつつ、そうすると、どのあたりで次のモンスターとか徴兵タイルが現れるかとか
ミレグラツィエにちょっと似てるけど、どういう行動を取ってくるのか、考える手がかりがたくさんある分
本作の方が面白いような気がする。

シンプルに出来てるミレグラツィエも悪くないんだけど、単純な心理戦にするよりは、このくらいの複雑さがあった方がよりマッチしてると思う。

どっちかというと重たいゲー向きのシステムなのかな。
重たいんだけどルールは分かりやすく、やることもシンプルっていうのがいい。
細かく見ていけば若干ややこしいところもあるけどね。


それともう1つ、勝利点まわりの仕組みが面白いですね。

3種類の勝利点要素があって1種類ずつ順番に適用していくんだけれど、2種類については足切りを食らわない程度に獲得するのが理想っていうのが面白いと思う。
ちょうど、オリンピックの開催候補地選びみたいな感じですかね。

基本的には3種類満遍なく獲得していくんだけれど、チグリスユーフラテスみたいにカッチリしてないところがなんかいい。
満遍なく集めると言っても、他のプレイヤーの動向次第では、完全に均等に振り分ける必要は無い。
3種類のうちどれをどのくらい取ればいいのか、さじ加減を考えるだけでも決して単純じゃ無い。


ラウンドの合間にある、各リソース兵士を使った軽い競りによる勝利点獲得機会も考慮に入れると(特に最後のラウンド直後の)本当に難しい判断になる。

ついでに、あれって定期的に各プレイヤーが持っているリソースがどのくらいなのか確認できる意味合いもあり
しかも、持ってるのに敢えて出さない(持ってることを隠す)ことで後のラウンドを有利に進めるような作戦も有り得たりして、ホント良く出来てんなコレ。


なんだけど、ちょっと視認性が悪いかな。他のプレイヤーが選んだアクションが何なのか見づらい。
アクションを選択するのはすごくやりやすくなってるんだけど、、、

これ、カードで良いような気がするんだけどなぁ。
単純に考えると5種類のアクションが最大6個選べるので、5×6=30枚のカードが人数分必要になる。
だけど、たとえば赤の道だけ6回選ぶとかそんなのは現実的にほぼ無いわけで

手番パスが1枚、移動がそれぞれ2枚ずつくらい×3、アクションが3枚

この10枚構成くらいで不自由は無いようにも思えるのだけれど。

もちろんそうすると、パス3回連続とかそういう戦略が取れなくなってイヤだとかいうのも分かるんだけど
だけどそれよりはプレイアビリティというか視認性の向上を優先したいように感じた。


まあ、そういうのを差し引いても重ゲーが嫌いで無ければ、これは持ってて損は無いと思う。


2015/04/26


JohnnyBet



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