たっくんのボードゲーム日記

No.534
ヘルマゴール
Hermagor

プレイ人数:2 - 5
プレイ時間:約120

ルール難易度 普通、特に難しい点は無い
日本語化 不要


ボード全景。オーストリア西部の都市・ヘルマゴールを舞台に行商をしてたくさんのお金を稼ぐことを目指します。



道に数字が書いてあって、これは移動コスト。通るたびにお金を払わなけばなりません。
村と村が道で繋がってて、村では特定の商品を売ることできます。



この村では「竜の卵」を売ることができる。



竜の卵の値段(売却価格)は、この場合なら5金です。



商品を売った村には、商館コマを置きます。
自分の商館コマが置かれた村には止まることはできません ※通過することはOK
つまり、1つの村で売却できるのは1回だけです。



自分の商人コマを動かして、着いた先の村で商品を売っては商館を建てていきます。



道で隔てられた1つのエリアに隣接する村全てに商館コマを置いたら・・



そのエリアに描かれている商品から1つ選んで



選んだ商品の左側のチャートに丸チップを置きます。
それで、置いたところに書かれている数字分のお金をもらえます。この場合5金。


同じ商品について、次に置くプレイヤーは3金、1金、とだんだん減っていくので最初に置いた方がたくさんもらえます。
1と0はゲームの最初は価格を示すタイルに隠されていて、その商品の価格が上がってマスが見えるようになったら置くことができるようになります。

さらにゲーム終了時に、丸チップが置かれている商品の種類ごとに赤字の数字分のお金をもらえます。
この場合8金。


同じ商品に1人のプレイヤーが複数のチップを置いていたとしても、2倍、3倍になったりとかはしません。

他のプレイヤーが商館を建てている村に後から商館を建てる場合は、先に建てているプレイヤーは銀行から1金もらえます。


赤のプレイヤーの商館が建てられているところに、後から青のプレイヤーが商館を建てると
赤のプレイヤーは1金を銀行からもらえます。


さて・・各村で売る商品は、ここで仕入れます。



斜めも含めて、欲しい商品タイルに隣接するところに商人コマを置きます。
その時、置く場所に書かれた数字分のお金を銀行に払います。


ここに置くなら4金払います。

商人コマは順番に1つずつ、1プレイヤーにつき4個になるまで置きます。

商品タイル獲得の前に
路地の縦と横について、置かれている商人コマの数に応じて収入があります。
1個:1金 2個:3金 3個:6金 4個:10金


上の例だと、赤のプレイヤーは合計12金の収入になります。

全員4つずつこんな感じで置き終わって、それぞれ上記の収入をもらいます。
コマは商品タイルの上に置くことも可能です(コストは2金)。でも、路地じゃないので上記の収入はありません。



収入の計算が終わったら、市場の左上から右下に向かって商品タイルを獲得するプレイヤーを調べます。

このタイルは赤のプレイヤーが獲得します。


斜めも含めて隣接する路地、タイルの上に置かれたコマの合計が多いプレイヤーがその商品タイルを獲得します。


同数の場合は、斜めよりも上下左右に置いている方を優先します。
ということで下記の場合は緑のプレイヤーが獲得します。


ちなみに商品タイルに数字が書かれていますが、このフェーズで一番小さい数字のタイルを獲得したプレイヤーがスタートプレイヤーマーカーを受け取ります。

上下左右よりもタイルの上に直接置かれている方が優先です。あくまで同数の場合ですが。
ということで、これは青が獲得します。



この場合は、斜めで隣接している黄色よりも青や緑が優先されますが、青と緑で差がつかないのでこれは誰も獲得しません。



商品が1つだけ描かれているタイルを獲得したら、その商品の価格を1上げることができます。
※上げるかどうか、タイルを獲得した時すぐに決めなければなりません。



若干特殊なタイルも何枚かあります。


左から順に
・5金もらう
・他のプレイヤーの商館が建っている村で商品を売却しても、1金の収入がもらえなくなる。
・好きな商品の価格を1上げる
・移動のコストが半額になる ※後述

■大まかな流れ

商品を仕入れるフェーズ

 1.順番に1つずつ商人コマを路地か商品タイルの上に置く。
 2.置いた場所に書かれているお金を銀行に払う。※商品タイルの上に置いた場合は2金
 3.全員4つずつ置いたら、縦横の路地ごとに置かれている商人コマの数を数えて収入をもらう
 4.市場の左上から右下に向かって、1つずつタイルを獲得していく
 5.一番小さい数字が書かれたタイルを獲得したプレイヤーがスタートプレイヤーマーカーをもらう

獲得されなかった商品タイルは市場に残したままにします。
1枚もタイルを獲得できなかったプレイヤーは、救済措置で袋からランダムで商品タイル1枚獲得できます。

移動して仕入れた商品を売却するフェーズ

 このフェーズは、3〜5回ずつ手番を行います。 ※ラウンドごとにめくられるアクションタイルの数字で決定
 手番が来たら、次の中から1つ選択します。

 1.移動して売却
 2.移動せずに売却
 3.移動だけ
 4.何もしない

売却してから移動、というのはできない。
必ずしも隣の村に移動しなければいけないわけではなく、お金を払えばどこまでも移動できる。
移動だけ行った場合のコストは、道に書かれている数字の半分(端数切り捨て)だけ。
ただし、移動だけ行った場合は「移動コストが半額になる」タイルは使えない。
各村で売却できる商品は1つだけ。
村で売却を行なっても手持ちの商品タイルは捨て札にしません。 つまり、同じ商品タイルを使って後の手番で別の村で販売することができる。

これをアクションタイルに示された回数繰り返します。

終わったら、各プレイヤーが獲得した商品タイルを袋に戻して、仕入れフェーズに戻ります。

規定のアクションタイルの枚数だけラウンドを行なったらゲーム終了。


次の3つの最終ボーナスを加えて合計金額で勝者を決めます。

丸チップから得られる赤い数字の収入。



川で隔てられた3つのエリアごとに置かれた自分の商館の数の合計で、一番少ない数×3(2〜4人プレイの場合)


これなら赤のプレイヤーは、エリアごとに2、4、5なので 2×3=6金もらいます。

幹線道路(太いグレーの道)沿いの村に置かれた商館の合計が
一番多い(タイ含む) :+5金
一番少ない(タイ含む):−5金






Ornella, Emanuele
プレイ記

5人プレイ。



スタートプレイヤーは、黒のSさん。



2番手でどこに置くか少々考えて、この辺に置いてみる。



ルートとしては、一応こういう感じを想定。
街道を中心に埋めつつ、最終的に川を挟んだ3エリアに満遍なく置くことを考えると中心部からあまり離れない方が効率いいかなと。



となると、必要なのは、赤い本、青の塩、オレンジの十字架、灰色の武器。この辺を押さえたい。



ここかなーー



ふーむ、あんまり思惑が競合しなくてバラけてる感じ。



でも3個目あたりから争いが勃発。さっきの4つのうち塩はスタートから近い位置にあるし取って置きたい!
と思って手厚くする。


とりあえず、この右下の2枚を最低限確保できれば良いかな。

最初のラウンドでつまづくと痛いので、確実性重視で。



よしゲット。









みんながルート選択に悩む中、自分は計算通りのタイルをゲットできたのでサクサク進めていく。



3手目、4手目はusalapbitさんに1金献上しつつ・・^^;



第2ラウンド、こういう感じでできれば進めたい。


となると、必要なのはトウモロコシ、十字架、竜の卵あたり。

しかし、そのうち竜の卵が結構人気。どうすっかな・・



卵タイルの上に直接置く。けど、これでもまだ確保できたわけじゃ無い。
もう一個置けば確実に取れるけど、そうすると右上の方が手薄になってしまう。
武器、ドクロ、ペンダント。。この辺を失う結果になってしまう可能性が濃厚。



卵が欲しいのはヤマヤマだけど、それは諦めた。別のルートを考えよう。




イズナさん「うーん、それなら」


まあそうですよね。卵は競り負けた。

代わりに武器やドクロを取れたので、卵の街を飛ばしてこの辺を周るのがいいかな。



今回の戦利品



紫のペンダントが若干高めの価格なので、これをルートに絡ませる手もあるかなぁ。










まあいいか、さっき考えた通りに移動させる。





2ラウンド終了時点で1時間半が経過して、諸事情で時間切れ終了になってしまう懸念が出てきたのでちょっと巻きで進める。



最終ラウンドは、移動と売りのフェーズで3アクションだけ。3種類確保できればいいや、ってことでみんな最初から欲しいタイルの上にドカドカと置く。



最終結果、タケイさんの勝ち!




評価・・・

※評価の基準についてはこちら

そこそこの重量感があるけれど、ルールは比較的シンプルにできてて分かりやすい。
プレイ感としては結構エルフェンランドと近い感じ。かなり面白い。

移動タイル:商品タイル
乗り物カード:お金

という気がしなくもない。

どうやって効率的に村を回っていくか、そのために獲得する商品タイルは?という思考はエルフェンランドのそれとよく似てる。
ただ、勝利条件は訪問できた村の数じゃなくて稼いだお金なので、投資回収を色々考えなきゃいけないのでエルフェンランドよりも難易度は高いかな。
市場での商品をめぐる攻防と、獲得できた商品を効率的に使った移動販売計画。

ゲームを通じて、お金が足りなくなるような事態にはまずならないと思う。
そういう意味でカツカツ感は無い。
しかし、そのお金が最終的な勝敗を決めるので無駄金を払うわけにはいかない。
この辺は交易王にちょっと似てるかな。

君主論もそうだったけれど、オルネッラ作は勝ち筋が見えづらいですね。
もちろんネガティブな意味じゃなくて、この見通しの立たなさが面白い。
「どれがいいかな・・」と頭を悩ませる感じ。

コンテナみたいな、「何をすればいいのかさっぱり分からない」というのとはちょっと違うと思う。

面白かったので、再戦したら今度はプレイ記も書きます。
評価はとりあえずBにしときます。

2017/02/27




■追記

前回4人プレイ、今回5人プレイで、今回もちょっと時間切れ気味になってしまったのが心残りだったのだけれど、それだけゲームの世界に熱中できる良い作品なんだと思う。
5人プレイなら3時間くらいみておいた方が良いかもしれない。

とりあえずのプレイ感としては、4人も5人もほとんど変わらない面白さ。感じた範囲での違いといえば当たり前だけど、5人プレイの方が時間がかかることくらいかな。

商品タイルを獲得する競りのフェーズが相当に悩ましい。1つのコマが複数のタイルに対して影響を及ぼすので、競りっぽいけどもしかしたら陣取りに近いのかも。
そして競り落としたタイルがそのままお金になるわけでは無いので(そういうタイルも数枚あるけど)なおさら難しい。
オルネッラ作のゲームは、これと君主論しかやったことないけど、どうもこのデザイナーは複雑な悩ましさのある要素をさらに2重3重にすることで奥深さを演出してる感じがする。

こういうタイプのゲームの場合、お金と勝利点が別扱いになってることが多いと思うのだけれど、本作では分けられていない。
別扱いじゃ無いから、お金を使うことは勝利点を減らすことに直結する。
単純なことなんだけど、1つのリソースが2つの意味を持つことでジレンマが生まれる。
と同時に、コンポーネントやルールをスリムにすることにもなるので、基本的にこういうデザインの方が好きだなぁ。

ルール量はそこまで多く無いけど、悩ましすぎるので自然と長考になりがち。
もちろん悪いことじゃ無いし、どっちかというとそういうのは好みなんだけど、これは手番に制限時間を付けた方が良いタイプかも。

クニツィアやシャハトみたいなキレ味はあまり感じない。


ラウンド前半の競りフェーズとは対照的に、行商フェーズはインタラクションがほとんど無いので、ここもなんか一味あると良いのかなと思う。 他のプレイヤーが売却済の都市で売る時、先に置いているプレイヤーがもらうのは1金じゃなくて2か3くらいにしてみるとか。 それも銀行からもらうんじゃなくて後から置いたプレイヤーが払うとか。 行商フェーズでコンコルディアくらいの緊張感があったらAで良いかもくらいの完成度と思う。 2017/11/03
JohnnyBet



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