たっくんのボードゲーム日記

No.55
ナンズオンザラン
Nuns on the Run

プレイ人数:2 - 8
プレイ時間:約40

ルール難易度 普通、特に難しい点は無い。ただしルールブックが分かりづらい
日本語化 不要




プレイヤーは、夜警(鬼)と修道女(逃げる側)に分かれて
修道院を舞台に所狭しと逃げ回り、追いかけまわします。

ボード全景、修道院。



下の6つが修道女とその部屋(プレイ人数によって変化)と
その上に、院長と副長(夜警)の部屋があります。




修道女は自分の部屋を抜け出して、カードで指示された
お宝をゲットして自分の部屋に戻ることを目指します。

夜警プレイヤーは、それを阻止すべく修道女を捕まえにいきます。


これがお宝カード。
修道女プレイヤーは誰にも見られないように1人1枚ずつ引く。



「恋人からの手紙」みたいなお宝もあって、なんとなく女の子っぽい感じがする。


で、肝心の移動方法は4つの中から選べる



1.立ち止まる
2.忍び足
3.歩く
4.走る

立ち止まる場合は当然移動距離はゼロ。
忍び足、歩く、走るの順に移動距離は長くなっていく。
しかし同時に足音も大きくなる。

足音が大きくなれば夜警に見つかる可能性も高くなるというわけ。


それに対して、夜警側の移動方法は2種類



1.歩く
2.走る

もちろん走る方が移動距離は長い。
しかし、歩くと修道女の足音に気づける可能性が出てくる。
つまり走ると足音が聞けない。


夜警側は、事前に選んだ経路カードに示されている順路通りに移動する。



つまり修道女は自由に動けるが、夜警は基本的に
歩くか走るかを選べるだけで、経路カードの終点に着いて
次の経路カードを選ぶまでは行き先を選べないということになる。

しかし、修道女の足音を聞いたとき修道女を見つけた(視界に入った)ときは
経路を外れて、追いかけることができる。




重要なポイントは、ボード上の情報はあくまで夜警側の視点になっているということ。
つまり、修道女のコマはいくら動きまわっていても基本的に自室に置かれている。
(夜警をする院長は修道女は全員自室に居ると思っている、という設定)

夜警に発見された時点で初めて本当の居場所にコマを移動させる。
※写真参照


見つかったら、修道女プレイヤーは当然逃げるのだが
このとき夜警の「視界」の外に出た場合は、消滅トークンというタイルを置く。
置く場所は、修道女の姿が見えなくなったところ。



右のほうに逃げて夜警の視界から外れたのでここに
消滅トークン(通路に置かれた四角いタイル)を置く。

この消滅トークンは1ターンで取り除かれてしまうのだが
夜警側はこのトークンがあるうちは引き続き修道女を追いかけることができる。
(再び夜警の視界に修道女が入ったら、また修道女コマを置きなおす)


次に修道女の足音について

ルールブック上の説明では少々分かりづらいのだが
修道女の足音の判定は次の2種類がある。

1.夜警プレイヤーが「歩く」を選択したとき
2.修道女が行動したとき(※ただし、直前のターンで夜警が「歩いた」場合のみ)

いずれの場合も、サイコロを振って出た目から修道女の直前に取った行動の修正値
(立ち止まる:-3、忍び足:-2、歩く:-1、走る:±0)を加えた数値以内に
修道女と夜警が居た場合、ノイズトークンが置かれる。

このとき1.の場合(夜警プレイヤーがサイコロを振ったとき)は修道女の居場所のすぐ隣に
2.の場合(修道女プレイヤーがサイコロを振ったとき)は夜警の隣に置かなければならない。
※このとき、隣のマスが複数ある場合は夜警と修道女間の最短経路上に置かなければならない。

1.の場合



2.の場合



この例では、いずれの場合も⑦の位置に修道女が居る。


★ゲームの流れ★

修道女と夜警は交互に手番をプレイします。
※最初のターンだけ修道女は2回手番を行います

■修道女の手番
①4つの移動カードの中から1つを選んでカードを表に出す
 ※このとき修道女コマは動かさず、後述の記録用紙に取った行動を記録する
②足音を判定するためにダイスを振る(直前の夜警の行動が「歩く」の場合のみ)
 足音を夜警に聞かれてしまったらノイズトークンを置く

これが行動の記録用紙



移動を終えた場所の番号と、移動手段、移動したマス数を書き込むようになっている。
ss:立ち止まる
sn:忍び足
w:歩く
r:走る
たとえば、126 5r なら、走って5マス移動して、126番の地点に着いたという意味。 ちなみにSWと書いてあるのは宝物を見つけたということ。 ■夜警の手番(院長、副長それぞれ別で行う) ①2つの移動カードの中から1つを選んで表に出して  経路カードに示された順路に従って夜警コマを動かす。  ※この後、ボード上のノイズトークンと消滅トークンはすべて取り除きます ②修道女の足音を判定するためにダイスを振る(歩いた場合のみ) ③ターンマーカーを1つ進める 黄色のコマがターンマーカー。 15ターンまでで修道女が宝物を持って自室に戻れなかった場合は 夜警プレイヤーの勝利となる。 さて、ここで1つ補足しなければならない。 それは夜警の視界について。 夜警は前方と横に最大6マス分の視界が利いていて 壁などがある場合は視界は遮られる。 まぁ、どの位置からどこどこは見えるとか見えないとかは ルールブックで詳しく解説されているのでこの点は良いのだが、問題はこのあと。 夜警は、いつどうやって修道女を見つけたと判定するのか? なんべんルールを読み返してもこれが分からない。 ギークで公開されているリファレンスを見たりしながら ようやくそのアタリがついた。 その答えがこれだ ・夜警は1マス移動するごとに(歩いていても走っていても)視界を判定し  その視界内に修道女が入ったなら、修道女コマを移動する。 つまり夜警は1マス移動するごとに、ここまでが視界に入ってるよと 修道女側に示していくのだと思う。 走った場合は最大6マス移動するので、そのときはこの作業を6回行うことになる。 修道女コマのあるマスに夜警コマが入った場合は、捕獲。 宝物を手に入れている場合は取り上げられ、説教され、歩いて自室に戻らなければならない。 夜警の視界から外れたら、また通常通りの行動をとることができるようになる。 プレイ人数と同じ数だけ捕まえたら夜警プレイヤーの勝ち。 その前に(15ターン以内)宝物を見つけて自室に持ち帰ったら修道女プレイヤーの勝ち。
Frederic, Moyersoen

評価・・・

※評価の基準についてはこちら

これはボードゲームとして出すには若干無理があるかなぁ。

呪いのミイラと同じ鬼ごっこ系のゲームなのだが、こういうゲームの場合
追う側に与えられる情報(追われる側の居場所)は、ある程度制限されていないと面白くない。
全員に情報がオープンなボード上で、それをどうやって実現したのかが一番興味があった点だ。

呪いのミイラの場合はボードを立てて、片方を鬼側、片方を追われる側にするという
素晴らしいアイデアで実現していたのだが、さてこのゲームの場合はというと
ボード上の情報は鬼側の視点、逃げる方の行動は紙に記録するという
ちょっとある意味平凡すぎるシステムで、肩透かしをくらった感じだ。

あと、このゲームでは夜警の見えている範囲(視界)と修道女の足音を判定するという
アクションがあるのだが、これが少々メンドクサイ。
ルールブックにも視界の判定方法や、この場所からこの場所は見える/見えない的な
一覧表がついているのだが、夜警が一歩歩くごとに調べなければならないので
これはかなりの作業負荷だ。
足音の判定もサイコロを振って、数値を出すところまではいいが
ボード上で足音が聞こえるマス数を数えるのが、やっぱりちょっとめんどくさい。

このへんはもう少しアイデアを駆使して、プレイが楽になるようなギミックを考えて欲しかったところかな。


逃げる方はゲームを通して満遍なくまあまあ楽しめるのだが、夜警の方は手がかりが少なく
しかも手がかり(足音)を見つけないと、決められた経路を進まなければならない
というのがツライ。大体あの辺に居るんじゃないか?というアタリがついたとしても
経路を外れられないのである。
カギを見つけた、宝物を見つけたといったときには呪いのミイラと同じように
居場所が夜警側に知られるくらいのハンデが無いと修道女側がちょっと有利すぎるかもしれない。
でないと、ゲームのヤマ場が夜警側に分からない場合もあり
気が付いたらゲームが終了していたということになってしまう。

しかし、足音を聞く、修道女を見つける等して追うことができるようになると
夜警側も徐々に楽しくなってくる。
けど夜警(鬼)と修道女のどっちが楽しいかというと、やっぱり修道女の方だと思う。
好きなように動けるし、移動方法も4種類あって多彩なので。


走ると足音が大きくなり、歩く、忍び足、立ち止まると、だんだん足音が小さくなって
夜警に気づかれにくくなるという点と、夜警側は歩かないと足音を聞く機会がないというのは
よく考えられてた面白いシステムと言っていいと思う。この点は評価したい。
のだが、走ったときはもうちょっと長い距離移動できた方が良いかな。
足音を聞けないというデメリットを考えると8マス前後くらい移動できてもいいと思う。


ちなみにプレイ感は軽い部類に入ると思う。メモ用紙が付属してきてなんだか難しそうと
思ってしまうのだが、やってみると行動記録をつけるのはそれほど苦にはならない。
それよりは、やはり視界・足音判定のめんどくささが際立つ。
この問題を解決するには、デジタルゲームにするしかないような気がする。
しかしもしこの問題を解決できていたら、かなりの傑作になっていたかもしれない。


足音システムの着想はかなり良い線いってると思われるだけに惜しい作品だ。


JohnnyBet



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